七輪と炭火の魅力

七輪の魅力と特徴

七輪。それはいつの時代においても、人々に愛され使われて来ており、人々の心を豊かにする調理器具である。現在ではどこのホームセンターでも丸型七輪が販売されており、年々人気があがってきている。

 

ホームセンターなどで販売されている七輪の多くは、珪藻土を押しつぶして、粘土状にしたものを金型でプレス成型した『練り物製品』である。この七輪は安くて量産もしやすいため一般的に普及している。この練り物製品に対し、『切り出し七輪』がある。これは珪藻土の塊を切り出し削った七輪のことで、珪藻土の切り出しからほとんどが手作業になるため、加工するのに多くの時間を要する。そのため切り出し七輪は練り物七輪に比べ、高価なものが多い。

 

七輪の利点としては燃焼を節約できる点があげられる。七輪はBBQコンロに比べ、炭の燃焼時間が長い。これは七輪が断熱性に優れ、赤外線の発生量もBBQコンロよりはるかに多く、熱効率が高いためである。そのため焼き物料理に向いており、現在では炭火焼料理には欠かせない存在になっている。

 

そんな七輪にも弱点がある。珪藻土で出来ている七輪は水に弱い。このため雨に濡れたりすると、珪藻土が吸水してしまい七輪にひびが入り崩れてしまうのである。また落としたりすると割れやすい。なので慎重、丁寧に扱う事が大切である。

角型七輪と丸型七輪

七輪には、角型七輪と丸型七輪の2種類がある。丸型七輪は誰もが見たことのあるあのラッパ型七輪である。

 

丸型七輪は、七輪内部が筒状になっているので炊飯や煮炊きに使いやすい。

空気口から取り入れた空気の上昇気流により木炭がよりよく燃焼し、対流熱がヤカンや鍋を集中的に熱する仕組みになっている。ただ、円形のため食材を焼くには小さな面積であるので焼き物には不向きである。

 

近年では、七輪を炊飯や煮炊きに使用する機会は減少し、焼き物をするための七輪の需要が増えてきている。そこで普及したのが角型七輪である。

 

角型七輪は横に広く木炭が広がるので、焼き面積が丸型七輪に比べたいへん大きくなり、サンマなどの長細い食材を焼くのにはもってこいである。ただし、角型七輪は木炭が丸型七輪に比べ重なり合わないので、対流熱が発生しにくく炊飯や煮炊きをするには不向きである。

 

この角型七輪の中にはかなり大きな角型七輪もあるので、大人数で焼肉などをやることも可能である。

 

焼肉と言えば、BBQコンロを使用すればよいのかもしれないが、BBQコンロにはない豊かな時間、空間がこの七輪にはある。なので焼き物好きな方は、是非とも角型七輪を使って頂きたい。

 

七輪の選び方

七輪には角型七輪と丸型七輪の2種類があることは、先程の説明で分かって頂けたと思います。しかし、角型七輪といっても様々な角型七輪があります。

 

一人でちょびちょびやる用の一人用角型七輪であったり、サンマを焼いたり、2、3人で焼肉をって事であれば少し大きめの角型七輪、といったように使用目的で七輪のサイズが変わってきます。

 

また、最近では室内用の丸型七輪や卓上七輪など細かく分類されてきており、選ぶのに目移りしてしまうくらいの数があります。

 

なのでまずは、角型七輪または丸型七輪で自分が何をどうしたいのかを思い浮かべて、それにあったサイズの七輪を選ぶことをオススメします。

 

一人でしんみりとスローフードを楽しみたいと考えているのに、購入した角型七輪が、サンマを何尾も焼けるくらい大きな七輪だだったらどうですか?風情に欠けると思いませんか?

 

一人でしんみりと七輪の時間を楽しむのであれば、一人分の食材がちょこっとずつ焼ける大きさの角型七輪で充分なのです。

 

購入する際にやってはいけないことは、よくばってあれもしたい、これもしたいにならないことです。なかにはいろいろなサイズを一度に買い揃える人もいますが、まずは一つ購入して七輪の楽しみ方、良さを味わってください。

七輪で炭焼料理

七輪だからこそ楽しめる。そんな炭焼料理を紹介します。是非一度食べてみてくださいね。

 

■蛤

炭火焼ならこれがオススメ。自分で焼くと熱々の蛤が楽しめます。蛤の楽しみは身はもちろんですが、なんといっても汁ですね。貝殻を網に載せる時に上下間違えなければ、その汁を堪能できます。

 

■鮎の串焼き

鮎は皮が薄いため、網にのせて焼いてしまうとその皮が網にくっ付いてしまい、可愛そうな姿となってしまいます。そのため串に刺し、炭火の周りに立てて焼くのです。

基本的に魚は『強火の遠火』と言われています。これは表面を適度に焦がすことで旨味をなかに閉じ込め、なかにも充分火が通るからです。以前聞いた話だと、本当に美味しい鮎を焼くには2時間はかかるそうです。2時間も待てないって?なにを言いますか。このじっくりと焼いている時間こそが七輪の醍醐味じゃあないですか。七輪にどうやって串を立たせるかって?今では七輪専用串焼きスタンドまで販売されていますから、家庭でも簡単に楽しめます。

 

■マグロのカマ焼き

七輪で一度は試していただきたい一品。味はさることながら、カマの大きさを楽しんでもらいたい。大きいものだと一度に中まで火は通らないので、焼けた表面からチョビチョビつまみながら食い進んでいく。これもスローフードにはもってつけの一品である。軽く塩を振るだけの簡単料理なので、日ごろ料理とは無縁の方も充分に楽しめます。

 

■サンマ

七輪の代表品のひとつ。サンマは油が大量に落ちるため、火が燃え上がる。あまり油が落ちないように工夫をしながら焼いてください。もし焦げても香ばしさが増し、美味しく頂けます。それに皮をガンガン焦がしても中は美味く焼けているのでほとんど失敗のない一品です。熱々のサンマは最高ですよ。

 

■焼き鳥

炭で焼いた焼き鳥は最高の一品。よく縁日とかでは主にガスで焼いて売っていますが、これとは比べ物にならないくらい美味しいですよ。最高の焼き鳥を食べるためにじーっと焼け具合をみながら焼けるのを待つのは、至福の一時です。焼くときの注意点として何度もひっくり返さないことです。基本は一度きり。

七輪を使用する上での注意事項

七輪は食材を焼いたり、炊いたり、蒸したりいろいろな楽しみ方をもつ万能選手である。しかし、使い方を一歩間違えると、命も落とすことになってしまうので、七輪を使用するときは十分な注意が必要である。いくつか紹介するので是非とも覚えていただきたい。

 

■一酸化炭素中毒

室外で七輪を使用する場合は大丈夫だが、室内で使用する場合は注意が必要。木炭の燃焼中は絶えず一酸化炭素が発生するので、室内で七輪を使用する場合は、定期的に換気が必要である。テント内や車内での使用も大変危険なので十分に注意するもしくは使用しない。

 

■爆跳

爆跳とは木炭の中にある水蒸気や木炭ガスが炭を押し割るために起きる現象。黒炭と白炭とでは異なり、黒炭の場合はぱちぱちと少し火の粉が舞う程度で済みますが、白炭は大きな爆発音と共にかなりの勢いで炭が跳んできます。そのため過去に火傷や身体に刺さって重傷を負ったケースもあるので爆跳には十分気をつけること。

 

■空気が乾燥した季節での使用

空気が乾燥する冬などでの使用は、火災を引き起こす原因に十分なりうるため、強風が吹くなかでの使用を控えること。七輪で楽しみたい気持ちは分かるが、火事になってはたいへんなので常識的に判断していただきたい。